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他人のチカラ

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先月から離れて住む母の家にヘルパーが入っている

週に2回 1日は買い物同行で1日は掃除

 

もともと「片づけられない」性分で

年老いた今 さらに家の中は荒れ放題

子供のころからそうだった

友達を呼ぶことは到底できない家

それがとても嫌だった

原因はひとつ「モノが多すぎる」のだ

さらに言うならそれらの居場所を決めていない

もしくは居場所に戻さない

片付かない原因はこれに尽きると思う

 

ともかく持病を抱えた83歳が暮らすには過酷な環境

もうほとんど床は見えなかった

あれでは家の中でけがをする

 

まずは5週に1度の通院に付き添う際に現状を把握

あまりの惨状にどこから手を付ければいいのかわからなくなる

その日に少し片づけても次の通院日にはもとに戻ってしまう

高速を使って1時間かかる実家に頻繁に通うのは難しい

が、そんなことは言っていられなくなってきているのも事実

 

そしてヘルパーの契約の日

担当ヘルパーがさらりと

「動線確保ということで片づけますね」

この一言にとても救われた気持ちになった

 

そのひと月前

介護認定の書類を届けに来た職員がとても申し訳なさそうに

「あれは介護保険の範疇を越える」

と言っていたから

 

それから2週間後に実家に行くと床が見えていた

敷いてあったラグを「転ぶと危ない」と母に伝えると

処分していいとのこと

その答えを聞いてからが早かった!

サッと丸めてごみ袋に入れそのまま階下のゴミ捨て場へ

フローリングの見えた部屋のなんとさわやかなこと

 

その日は訪問看護とデイサービスの契約があったが

その関係者全員が部屋の中で座ることができた

当たり前のその光景が奇跡に思えた

 

「これからもっとお部屋が整って生活のリズムもできてきたら何がしたいですか?」

そう聞かれた母は答えに困っていた

「私たちはお世話をさせていただくのにご一緒に目指す目標が欲しいんです」

そう言われているのを聞いて思わず

「○○さんとのランチをウチですれば?」

と言ってみた

 

週に1度 昔ご近所だった方がバスに乗って会いに来てくださる

母もバスに乗り駅まで出るか

母の住む場所まできてもらってのランチ

孫のことやお互いの体調について話すのを楽しみにしている

 

「あ~そうね」と母も頷く

「それからひ孫にも会いに来てもらおうよ」と提案

ケアマネも「それはいい!いいですね」と相槌

 

私の娘は私の実家から車で十数分のところに住んでいる

この前玄関先まで連れて行ったらたいそう喜んで

「2しゃい~(と玄関先で母に言ったのがかわいかったらしく)の子は元気?」

と私が行くたびに聞いてくる

娘も「片付けばいつでも連れて行く」と言っている

それも目標にしよう

 

今までのんびり自分のペースで暮らしてきたから

週に4日他人が入ることに慣れるまでは本人は大変かもしれない

でもおかげで規則正しくなり 環境も整い 薬の管理もできる

 

そして身内だと感情的になってしまうところも

うまく流しながら対応してくれる

さすが百戦錬磨のプロだと思う

 

まだまだ小さな問題は山積みだけど

1歩進んだことは間違いない

残された母の人生が穏やかなものになることだけを願っている

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