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【保護猫との暮らし】ぶーたろうとわじゅ

ねこ
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昨年の秋にひょっこりあらわれたねこ

とても人懐っこくて足元にまとわりつく

撫でられることも嫌がらない

私が玄関を出るとどこからともなくやってきて

かわいい声で鳴く

夕方の仕事帰り 夜のバイト帰り

どちらか必ず顔を出す

外に出しながら飼う人もいる地域なので

飼い主がいるだろうと思っていたが

よく見ると白いところが白くない(薄汚れている)

ずっと外で暮らしているんだと気づく

そのうち私の帰宅時には

玄関先の低い物置の上や

庭先のプラケースの中で

待機していることが増えてきた

 

 

 

もう何年も前からの通いねこがいた

少なくとも5年前にはすでにオトナだった茶白

冬には軒下のプラケースの上に段ボール箱をのせ

大きくて厚手のビニールで覆い

フリースを敷き

レンジで温める湯たんぽを入れた

そして彼が入口に表札のように大きく

「ぶー太郎」と書いた

どんなに寒い日でも

朝になるとどこかへ出かけて行った

当時ウチにはたくさんのねこがいて

「ぶー太郎」を入れてやることに慎重だった

どの部屋にも複数のねこがいる中へ

新しいねこを入れるのは

とても神経を使う

ましてオトナの雄猫となると

相性によっては流血沙汰にもなりかねない

そして「ぶー太郎」自身が家の中に興味を示さなかった

このあたりのボスだったのかもしれない

 

そんな「ぶー太郎」はこねこや雌猫には優しかった

「ぶー太郎」に出したフードを近所の雌猫が食べても怒らなかった

食べ残しをきれいに食べきっていた

こねこには寄り添ってやった

時間と共にボスという感じはなくなっていった

彼(夫)が亡くなってしばらくして

ぼろぼろになった段ボールハウスも処分

それでもふらりとやってきてはフードを食べ

庭先で日向ぼっこしていた

秋にひょっこり現れたそのこねこともよく一緒にいた

くっついて眠っていることもしばしば

 

 

見た目にも弱ってきた「ぶー太郎」と

元気いっぱいのこねこ

この2匹だけは何かあったら面倒をみよう

いつしかそんな気持ちが心の中に生まれていた

 

そうそう

こねこが現れる少し前

一度「ぶー太郎」を家に入れてみたことがある

フードにつられて入ってきて

少し食べてみたものの

 

 

やっぱり外に出たくなり

 

 

カーテンの向こうに頭を入れて

 

 

私がなかなか窓を開けなかったら

その場でゴロンとなりつつも待機

 

 

そして外に出したらさらにゴロンゴロン

 

 

「いつでもウチに来ていいからね」

と後姿を見送った

 

こねこはどんどん大きくなった

きっとよそでもゴハンをもらっているんだ

それは安心でもあった

あるとき近所の空き地で蝶々をおいかけて

ぴょんぴょんはねているのを見た

愛らしいこねこらしい姿に

思わず笑顔になった

こうやって元気に遊んで

ゴハンの心配もなく

雨風しのげていたら

外で暮らしていても幸せなのかもしれない

とさえ思えた

この日からひそかに「ぴょんた」と呼んでいた

 

庭先に通じている和室

そこにはやはり近所で保護した母子4匹がいる

「ぴょんた」とこの4匹は

窓越しにお互いの姿は見ているはず

この子たちと相性がよかったら

「ぴょんた」をウチに迎えようと思った

 

何日もかけていろいろ確認する

が とにかく「ぴょんた」がウチに長居できない

外へ出たくなると大きな声で鳴きだす

この部屋の4匹はいい意味で「ぴょんた」に無関心

威嚇することもなく遠巻きに見る程度で

淡々と過ごしている(ように見える)

 

ご近所の方の話で

「ぴょんた」が現れるようになった経緯も少しわかった

もしウチの子たちとの相性に問題がなければ

迎え入れるつもりだと話すと

とても喜んでくれた

 

病院の予約状況と私の都合から

2/27に去勢手術を受けることになった

前日には家に入れて

夜のフードはナシ

そしてそのまま外に出すこともできない

そんなことができるのか?

と私が緊張していたが

なんとその3日前から連続お泊りができていた

昼間も外には出ていない

こうしてその日の朝を迎えた

 

去勢手術は無事終わった

まだ完全な家猫ではないため

通常行う血液検査をどうするか問われ

少し迷ってお願いした

このままウチの子になってほしいと思ったから

 

名前は「ぴょんた」改め「わじゅ」と命名

「わじゅ」はとてもおりこうで

騒ぐことも暴れることもなかった

血液検査の結果も問題なく

外で暮らしていたわりには

栄養状態も良いとのことだった

 

最低3日間は外に出さない方がよく

薬も3日分処方された

帰りの車中でふんわり匂いがして

帰宅後キャリーから飛び出すと

床に足跡がつくほどおしっこまみれだった

病院でキャリーにペットシートを敷いてくれたおかげで

車のシートには漏れなかったが

キャリーでくつろぎスタイルだったわじゅは

すべての足とお腹が濡れていた

市販のボディタオルなるもので

体を丁寧に拭いた

たくさんたくさんほめながら…

(もちろんおとなしく拭かれたわけではない笑)

 

ウェットフードとドライフードを食べて満足したら

やっぱり鳴きだした

ドアのそば

窓のそば

大きな声で鳴き続ける

でも外には出せない

この部屋のねこたちが特に騒ぐことなくありがたい

 

ねこにだって相性はある

嫌いな奴は徹底的に嫌う

そんな場面を何度も見てきた

かと思えば

時間は必要だが

嫌がっていた相手と

一緒に寝るようになることもある

 

見守ること

無理だと感じたら一緒にしないこと

どちらも大切

そのタイミングも大切

家にいる時間が少ない私に

どこまでできるか…

 

「わじゅ」は鳴かなくなったが

ふすまを開けると飛び出してきた

部屋にいる私がふすまに近づくと

一目散にやってきて一緒に出ようとした

部屋から出て

いくら玄関前で待機していても

もう外には出さなかった

玄関にいる「わじゅ」を抱き上げて

部屋に入れてさっとふすまを閉める

出勤前は時間とのたたかいだった

 

1週間くらい経った頃だろうか

「わじゅ」が出たがらなくなっていることに気づいた

私がふすまを開けても

離れた場所からただ見ていた

獣医師は「ここが安全で心地よいとわかったんですよ」

と言ってくれたが

少し胸が痛んだ

あの蝶々を追いかけている「ぴょんた」を思い出した

外に出ることをあきらめさせたのだから

それ以上の幸せを感じてもらえるようにしなくては…

蝶々との追いかけっこに勝る楽しさをプレゼントしなくては…

 

「わじゅ」の幸せをあらためて願い誓った

 

3月14日18時半に帰宅したら

「ぶー太郎」が玄関前にうずくまっていた

いつもは頭を撫でようとすると

一瞬ピクッとして

そのまま撫でられたり

避けるようにスッと歩き出したり

でも今日は頭を撫でようとしても

撫でてもピクッすらなくじっとしている

鼻はガビガビでふさがっていて

口からはよだれが二本

目もほとんど開いていない

とりあえずウェットフードを目の前に置くが

まるで興味を示さない

外は寒いので玄関の中に入れようと

フードの入った器で誘導を試みるが

まるで動かない

 

抱き上げて玄関の中に入れた

見た目とは違うその軽さにハッとした

たたきにおろすと自力で家に上がった

こんなことははじめてだった

玄関マットの上でじっとしているので

もう一度フードを置くが食べない

”水なら飲むかもしれない”

とキッチンに取りに行こうとドアを開けると

ヨタヨタと歩き出し

自らキッチンに入っていった

 

そのままヨタヨタと

低い台の上にあるねこベッドの近くへ行き

じっと眺めているので

抱き上げて入れた

そのまま力なく横たわり

寝息をたてはじめる

せめて口の周りを拭いてやりたい…

以前外にいる時に

垂れているよだれを拭こうとしたら

激しく抵抗されたことがある

今この明らかに衰弱している時に

無駄な体力は使わせたくない

おそるおそるウェットティッシュで触れる

意外なほど抵抗しない

なるべくそっと

でもしっかりと

まずは右半分を拭いた

左側も拭きたいが

反対を向くまで待つことにする

 

最近よく行く動物病院は19時まで

昔よく行っていた動物病院は19時半まで

自分の経済状況からは

到底連れて行けない

あ!最近よく行く動物病院は今日はお休みだ!

頭の中であれこれ考える

いつか迎え入れたいと思ってはいたが

ずっと外で暮らしてきたから

難しいだろうとも思っていた

もし迎え入れることが叶わなくても

最後まで付き合おう

行き倒れていたら必ず助けよう

あの日の思いがよみがえった

 

弱ったなりに調子のいい時もあって

颯爽と歩いている姿を見たり

かと思うと何日も姿を見なかったり

夜は絶対来ないから

どこかに雨風凌げる場所を持っているんだと

勝手に思っていた

 

あの時間に玄関にいるのはめずらしかった

 

ガビガビの鼻を拭いたらスッキリしたのか

穏やかに眠り始めた

その姿を見て

病院に連れて行くのはやめようと思った

その日はずっと家にいられた

ついていよう

見送ることになるかもしれない

それならなおのことそばにいよう…と思った

 

突然雄叫びをあげて体を仰け反らせた

苦しそうにしながらも

体勢を変えてまた眠る

一瞬ドキッとしたが

向きを変えた顔を拭いてやる

さっき「病院には行かない」と決めたのに

もうその決心が揺らぐ

時計を見ると19時半

もう病院は終わってしまった

 

その後何回か苦しそうにしたが

ベッドから出て椅子の上で眠り始めた

私は頻繁にその姿を見ていた

呼吸しているか確認しながら

 

話しかけるとしっぽをパタパタさせた

え?怒ってる?と思うほど

パタパタというより

パンパン!

反応してくれることがうれしく

またホッとした

 

初めて自分からウチに入ってきてくれたこの日が

「ぶー太郎」の♪ウチの子記念日♪

 

翌日「ぶー太郎」は私の「おはよう」に反応してくれた

やはり病院へ連れて行こう

原因がわかるなら知りたい

わからなくても

せめて苦しみを取り除いてやれたら…

 

それから3日間

どこにそんなチカラがあったのだろう

仕事から戻るたびに

居場所を移動していた

まさか椅子の上に飛び乗れるとは思わなかった

トイレに行くことはできなくなったが

ペットシートに助けられ

体を汚すことはなかった

声をかけると

口を開けて

「にゃー」と声にならない息が聞こえ

パタパタとしっぽを動かした

部屋にはその寝息だけが響いていた

 

そして4日目の朝

静かに旅立った

ウチの子として見送ることができてよかった

と私は思っている

 

「ぶー太郎」はどうかな。。。

 

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